中古住宅購入のリスクとデメリット・内覧前の注意点11箇所 VOL.065

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一戸建て住宅を中古で買う時の注意点

中古の戸建てを購入した一級建築士が、中古住宅を購入する時に注意する点を紹介します。

一定の知識を持って購入すれば結構お得な中古住宅。
しかし注意点が数多くあります。

注意点は結構あります

中古住宅のメリット

新築より安い

新築の住宅は5年経過するとその価値はガクっと下がってきます
その点、中古住宅は緩やかに下がっていくので、新築より資産価値の目減りは少ないです。
自動車なども中古でやりくりして固定費、節税をフル活用すれば、平均所得前後の家族でも30代で資産4,000万円~5,000万円も可能です。

選択肢が増える

中古まで検討範囲を広げれば選択肢が増えます。
転勤などの事情で、もし自宅を売却しようとする時に重要なのが、その土地の立地です。
良い条件の土地を購入することは、転売や賃貸で人に貸す時にも有利となります。

中古住宅のデメリット

修理費が必要になる場合がある

状態の良い物件ならば必要ありませんが、多くの場合はクロス程度の張替は必要です。
浴室、台所などの水回りや外壁塗装もすると数百万円単位でかかることもあります。
ユニットバス 50~120万円 台所 50~150万円 外壁塗装 100万円 など


※我が家の場合 設備交換(ユニットバス、キッチン、トイレ、給湯器)、内装クロス張替、床フロアタイル張で200万円程度 知人価格でしたが本来は300万以上

問題のある土地・建物の可能性もある

白蟻の被害雨漏りのある可能性もあります。
1981531日以前の建物は旧耐震といって地震に対する強度が不足しています。
・最悪建替のできない土地を購入する可能性すらあるので注意が必要です。

リスクに備える!
チェックポイントを更に詳しく!

内覧前にチェックする11カ所のポイント

今回は内覧前に調べておくことをピックアップしました。

  1. 1981531日以前の古い建物はやめる
  2. 建築基準法の検査済証があるか
  3. 瑕疵担保の免責がないか
  4. 再建築不可物件ではないか
  5. 抵当権が残ってないか
  6. 浸水地域・軟弱地盤ではないか
  7. 土砂災害の危険がないか
  8. 大きな崖・擁壁は注意
  9. 用途地域を調べて見る
  10. 共有持ち分の土地がないか
  11. インフラが来ているか

1.旧耐震の古い建物はやめた方が無難

1981年6月1日に建築基準法が改正され、耐震性能が向上しました。
それ以前の建物(旧耐震)は阪神大震災の時にバタバタと倒れています。
日付の確認は確認済証の交付日を確認してください。
※古い建物でも耐震改修がされている場合は購入検討をしても良いでしょう。(耐震診断+耐震補強工事をしたことがわかる図面や写真が残っている時だけ)

確認済証サンプル (出典:埼玉県 様式第1号記入例と解説)

最低でも新耐震の基準はクリアした方が良いです

2.検査済証があるか確認する

検査済証は建築基準法に基づき適法に工事が完了している建物かどうか判断する目安になります。

建築基準法の検査済証サンプル(出典:埼玉県 様式第1号記入例と解説)

検査済証が無いと

  • 違法増築している場合がある
  • 建築基準法違反でローン審査に通らない事もある

しかし前所有者が紛失している場合もあります。
その場合は、行政庁に建築確認申請台帳記載証明願を申請すれば検査済証に代わる物として証明書が発行されます。
ただし古い建物は検査済証自体をそもそも取得していないことも多いです。違反があって検査済証が取れなかった場合と行政側が業務多忙などにより積極的に完了検査を受理していない地域だった場合があります。後者の場合は検査済証はないけど建物自体は適法である事が多いです。

注意点は検査の後に違法に増築をしている場合です。

確認申請書の図面と整合しているか確認が必要です。確認申請書の図面も紛失していることが多いので正しい情報を確認するのは実は難しい作業となることが多いと言えます。

違反増築の実例では、増築部との繋ぎ目から雨漏り、基礎がコンクリートブロック、ケンペイ率オーバーなどがあります。

不動産屋さんに検査済証はあるか確認しましょう。無い場合は違反増築部分がないか聞いてみましょう。分からない場合の購入は慎重に検討しましょう。

3.瑕疵担保責任について免責がないか

スーモやアットホームといったサイトに瑕疵担保免責有とあるときは要注意です。

瑕疵担保責任とは物件に隠れた瑕疵、つまり売主より聞いていなかった雨漏れ・白蟻の被害、構造部が腐っていたり、設備の故障などがあった場合、引渡し後定めた期間のみ売主が保証するという条項です。期間は売買締結後6か月と割と短いことが多いです。

瑕疵担保免責有(瑕疵担保特約付)という物件はその部分が免責されて販売しています。逆を言えば必ず何か問題があります。その問題部分を売り主側に聞いて、特に雨漏り、白蟻被害の場合は購入の検討は控えたほうが良いでしょう。基本的には一般の方にはかなりのハイリスクです。

4.再建築不可の物件はやめた方がよい

スーモなどのサイトに再建築不可と書かれている場合は、購入を避けたほうが良いでしょう。
再建築不可の内容によってリスクは異なりますが、一般の方にはなかなか難しいと思います。
値段は相場の半額程度だったり安くなっています。
しかし建替えが出来ない物件のため売ろうとして売りにくい物件です。
資産としての価値も低くなります。

再建築不可の事例(接道2mが不足)出典:世田谷区建築基準法取扱い

再建築不可となる理由として、建築基準法や都市計画法の基準を満たしていない土地である事が多いです。上の事例は建築基準法43条により最低2m以上道路に接していないため再建築不可となる事例です。

5.抵当権が残っている物件は買わない

スーモなどのサイトに抵当権有りと書かれている場合も、購入を避けたほうが良いでしょう。
抵当権が設定されている土地を購入しても、売り主が借りたお金を返せずに銀行などに抵当権を実行されると、抵当権付きの土地・建物を買った人もその土地や建物の所有権を失ってしまいます
売り主に借金の返済計画を確認して抵当権抹消する方法も可能性としてはあります。土地等の売買契約後に抵当権抹消をしようとする場合は、十分な事前協議が必要です。
リスクの高い物件と言えるでしょう。

6.浸水地域や軟弱地盤ではないか確認する

ハザードマップポータルサイトというものが国土地理院から出されています。

以下の順番で検索しましょう
1.わがまちハザードマップ(地方自治体)
2.重ねるハザードマップ(国)

わがまちハザードマップを見ても購入予定地の自治体のマップがなければ重ねるハザードマップで見てみましょう。

洪水による浸水や地震による液状化について調べることができます。

最近は豪雨による災害、地震による液状化によって大規模災害があり、ある程度WEB上で情報を収集できるようになっています。
軟弱地盤、浸水する区域に入っている場合は注意が必要です。
軟弱地盤に関しては地盤改良や杭などで地盤補強がされていることが必須です。
浸水区域はあえて購入しようとしなくても良いと思います。

ちょっと使いにくいけどとても重要な情報が載っています

7.土砂災害の危険性が高い地域か

これも上記のハザードマップや各自治体のウェブサイトから調べることができます。

注意点は【土砂災害特別警戒区域:レッドゾーン】に入っている場合です。
木造では作れなかったり、コンクリートも一定の基準でないといけないなどかなり制約の強い土地です。土地の資産価値も低くなります。
人命に関わりますので基本的にはレッドゾーンの範囲内は購入を避けた方が良いです。
イエローゾーンも極力避けたほうが無難でしょう。
理由は下に書いた【大きな崖】と同じです。

8.大きな崖・擁壁がないか

危ない崖・擁壁のリスク

  • 崖崩れで自分が死んでしまうリスク
  • 崖崩れで他人が死んでしまうリスク
  • 損害賠償で1億円、擁壁復旧に3000万というケースも

グーグルアースで購入予定地の道路を散歩してみましょう。
大きな擁壁や崖があるときは要注意です。
崖の場合は、がけ崩れに配慮しなければなりません。
擁壁を新規で造る場合は数百万~数千万単位で工事費が必要となることがあります。
既存の大きな擁壁がある場合は、内覧の時にひび割れがないか現地でチェックしましょう。
2mを超える擁壁の場合は、適法に建てられているか(確認申請or開発許可or宅造許可)のチェックもした方が良いでしょう。
崖や擁壁が崩れて歩行者を死傷させてしまった場合は、土地所有者に管理責任があります。
合わせてコンクリートブロックの高い塀が道路沿いにあるときも同様の理由で注意が必要です。

神奈川県逗子市のがけ崩れ(2020:死者1名)

劣化した擁壁が大雨で崩落
損害賠償請求額 1憶2,000万円
擁壁復旧費用  数千万円

『知らなかった』 は通用しないので十分な確認が必要です

出典:国土交通省資料

がけ・擁壁・塀は本当に注意が必要です

9.用途地域を調べて見る

用途地域

用途地域などで
避けるべきは、工業専用地域
避けたほうが良いのは、工業地域、市街化調整区域です。
・工業専用地域は住宅の建築ができません。
・工業地域は住環境にはあまり適していません。(工場が多い)
・市街化調整区域は建築する人に条件付きの場合があり、農業従事者に限定されていることもあります。中には条件の無い土地もありますが、購入時に不動産屋さんに確認し自分に建替えが可能なことを確認しましょう。契約前にしっかりと調整する必要があります。

建蔽率・容積率

用途地域ではありませんが、建蔽率30% 容積率50%という土地も土地が狭い場合は避けたほうが良いかもしれません。

建築面積が敷地面積に対して何パーセントまで建てられるかが建蔽率
床面積が敷地面積に対して何パーセントまで建てられるかが容積率

例えば 100㎡の土地で建蔽率60%の場合は、建築面積は60㎡建築可能です。

建蔽率30% 容積率50% というような土地はかなり制限がきついので通常の相場では買わない方がよいかもしれません。(建蔽率50% 容積率100% ぐらいからが一般的です)

二項道路

購入予定地の周囲に4m以下の道路があるときは注意してください。
建替えをする時に、敷地の一部を道路として没収される場合があります。(一般的には道路の中心から2m)

10.共有持ち分の土地がないか

土地を複数人で共有して所有している状態です。
自分以外の所有者の合意が取れず建替えが出来ない場合もあります。
一般の方はあまり手を出さない方が良いかもしれません。

敷地から道路までを共有持ち分として、建築基準法の道路としている場合があります。その場合も所有者が民間の場合は購入を避けた方が良いかもしれません。

11.インフラが来ているか

低価格帯の物件には、くみ取り式便所や井戸水なんてこともあります。
前面道路までの距離があると給水管や排水路の工事費で数百万かかることもあります。

その他に個別浄化槽がある場合は、合併浄化槽又は下水道への切り替え工事が必要です。

一定の知識と事前調査はしておく方が良いでしょう

中古住宅の中には購入を避けたほうが良い土地もあります。
ある程度の知識を持って事前調査をしておくとよいでしょう。


次回は内覧時にチェックするポイントをご紹介します。


リフォームのテクニックはこちら



コメント

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