VOL.053 自閉症の子供の未来・親亡き後(収入編-資産管理)

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親が死亡した後の財産管理者と運用方法

障害のある子に対して遺言書ではやれることに限界がある

周囲に悪意のある人間が現れ資産を騙し取られる事例もある

息子の特徴
  • 診断:ASD(軽度知的障害の疑い)

いくつか対策となりそうな財産管理の方法を調べて見ました。

※2021.07現在で調査した制度のため利用する際の最新の情報を確認する必要があります。

制度①

家族信託

  • 生前に【親】が、信頼できる知人や家族、社会福祉法人に、【子供】のために残した親の財産を運用して【子供】が必要な時に必要な分だけ給付することをお願いしておくこと。

ここで紹介するのは信託の中の家族信託(遺言代用型信託)と呼ばれるものです

概要

親が信頼できる甥などの親族に財産を信託譲渡する方法。その場合に親は【委託者】となります。更に親は【生存中の受益者】と設定し、障害のある子を【死亡後の受益者】甥を【受託者】と設定。親が死亡後したあとでも親の考えのとおり、子供に対する支援などを信託によって達成させるものです。家族ではありませんが信頼できる社会福祉法人などがあれば【受託者】とすることも可能です。

【委託者】:親

【受託者】:親族、知人、社会福祉法人など

【生存中の受益者】:親

【死亡後の受益者】:障害のある子

信託を行うと、信託した金額が甥である【受託者】に所有権が変わります。信託した資産は独立した存在で、は資産を管理する権限を有するだけで、自由に処分することはできません。
万が一が破産をした場合でも、信託契約の資産は保護されます。信託契約による資産と受託者の資産は分けて管理されるためです。

が死亡すると、当初設定したとおり障害のある子が相続します。障害のある子に対して、相続した内から契約の内容に基づいて、必要な時期に必要な金額を給付することになります。あくまでの立場は管理者です。

の死後、更に障害のある子が死亡した場合、世話をしたや団体などに承継させて財産を残すことが可能です。この仕組みを使えば、子どもの死亡後の残りの資産は、助けてくれた甥などに残すことができます。後継ぎ遺贈という仕組みのようです。

信託監督人

甥【受託者】が管理するが自分がこの世にいないため、どうしても心配になります。そのため信託監督人を選ぶことができます。信託監督人は、障害のある子に代わってその子の権利を行使する立場になります。障害のある子は管理者である甥に対して的確な権利を主張できないため、不安がある場合は設定可能ですが、甥【受託者】とは契約時に事前に調整する必要があります。甥からしたら自分を信用してもらっていないともとれる内容ですので誤解の無いようにするためです。税理士などが選ばれる。 しかしこちらも結構な手数料がかかります。年間20万円とすると30年生きた場合で600万円程度でしょうか。

メリット

  • 生前に手続きができる
  • 信託した財産は子どもが必要な時に必要な分だけ給付
  • 受諾者が破産等で財産を失うといった万が一の場合でも、信託契約の財産は別途保護される
  • 遺言代用型信託の場合、贈与税ではなく相続税になり死亡時まで税金はかからない
  • 子どもが死亡したあとに財産が残っていたら、そのお金を寄付する先も信託契約で決めることができる
  • 信託監督人による二重の管理も可能

相続税は、贈与税に比較して基礎控除等が大きくかなり金額が抑えられます。さらに障害者控除も加わるため、5,000万円程度の資産を相続したとても子供の年齢に応じて相続税が発生しないこともあります。

デメリット

  • 甥【受託者】に財産を管理させるという負担が発生する。
  • 本当に信頼ができるかどうか判断は難しい。2014年に成年後見人制度だが親族の不正な使いこみは56億円以上という不安なデータがある。
  • 家族信託制度になれている弁護士や信託会社を探す必要がある。2021時点で年数の浅い制度のため経験のある人が見つかりにくい可能性がある。
  • 成年後見人をつけないことによって相続や福祉サービスを受ける時に支障となる場合がある。

福祉型信託

法的な定義された用語ではない。高齢者や障害者のために信託を設定することを「福祉型信託」と呼ばれています。定型的な信託形式があるわけではない。家族信託も含まれる。

受託者は 家族、知人、社会福祉法人などを設定できる。信託銀行でも設定できることがあるが管理料や手数料は必要。

信託の契約書作成の依頼先はあまり多くありませんが以下の協会でサポートがあるようです。

参考:遺言信託

遺言信託は、死んだときに効力発生(信託銀行のサービス名で通常の遺言と変わらず特別なことができるわけではない) ここで説明した家族信託の仕組みとは異なる 


特定贈与信託

  • 信託銀行等に金銭等の財産を預け、信託銀行等がその財産を管理する方法。

概要


信託の大まかな流れは、家族信託でいう甥【受託者】の役割を信託銀行が行うことになります。個人ではなく組織が管理するため安心度はかなり上がります。信頼のおける親族がいない場合、第三者となる弁護士や社団法人に【受託者】として依頼も可能ですが、第三者を果たしてどこまで信頼できるかが重要です。社団法人等が勝手に流用してニュースになるケースもあります。また利用にあたっては障害者手帳が必要となります。知的重度A、精神1級は(特別障害者)、中軽度知的Bおよび精神2級、3級(特別障害者以外の特定障害者)が対象となる。

【委託者】:親

【受託者】:信託銀行

【受益者】:障害のある子

メリット

  • 生前に手続きができる
  • 個人ではなく信託銀行による信頼と安心がある
  • 特別障害者は6,000万円、特別障害者以外の特定障害者は3,000万円を限度として贈与税が非課税

デメリット

  • 手数料が高い 信託銀行によるが 預入金額の預入時で3.3%と毎年1.5%に手数料が発生する。
  • 非課税枠を超えると贈与税の高い税率がかかる
  • 障害者手帳が必要となる

5,000万円預入すると 預入時で165万円、毎年 75万円 子どもが相続後30年生きたとすると、165万+(75万×30年)=2,415万円が概算で掛かります。半分ぐらいを手数料として持っていかれます。

障害者年金が受領できない可能性が高い精神障害3級の方は正直かなりの手数料負担となります。これは成年後見人制度を利用する場合も似た状況になります。

制度②

成年後見人制度

裁判所から選任された成年後見人が,障害のある方が既に十分な判断能力が備わっていない場合に障害のある方のために財産管理(収入支出や預貯金の管理、財産管理・処分、相続手続き)、身上監護(医療機関の費用や入院手続き、福祉サービスの契約、アパートの賃貸契約などの手続き)を行なう制度

本人保護という観点ではしっかりとした制度ではあるが、知的障害がある場合、障害のある子に相続、贈与は行うと成年後見人により望む形がとれないことがかなりあり、後見人が資産管理者となると生活に必要な最低限の支出に留めてしまうことが多くあるようです。子が死亡する時に多額のお金が残っていて結局国庫に帰属してしまうことが多い。

メリット

  • 本人保護という観点では強力な制度で家族すら排除する(デメリットでもなる)
  • 障害のある子の財産管理をするために、障害のある子供を被後見人、自身を候補者や裁判所が選任した後見人が親が死亡した後も継続して財産管理をする

デメリット

  • 障害のある子が相続した自宅の不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要
  • 財産管理をするに当たっては相続税対策や資産運用等の積極的な処理ができず財産の運用に柔軟性がない
  • 子供が死亡した場合に国庫に帰属してお世話になった親族に残余財産を分配できない
  • 成年後見人に毎年数十万円手数料が障害のある子が死亡するまで必要で相続財産から支払われる。費用負担が大きくなる。
  • 成年後見人自体は福祉というよりあくまで弁護士のビジネスとなる

費用として申し立てのタイミングで、凡そですが医師報酬10万円、弁護士等報酬30万円、管理財産1,000万円~5,000万円で年間40万円~50万円、5,000万円以上で年間60万円~80万円
5,000万円の財産を残して子供が30年生きたとすると
10万+30万+(60万円×30年)=1,840万円
1,000万円の財産を残して子供が30年生きたとすると
10万+30万+(40万円×30年)=1,240万円

金額が低ければ財産分が手数料で消滅してしまいます。障害年金すら消費されるのだろうかと不安になります。逆に高額を預けても余った部分は国庫に帰属する。

任意後見人制度

 裁判所から選任となる法定後見人ではなく家庭裁判所は任意後見監督人を選任できる。

この制度により任意で後見人を選ぶことも可能です。ただし、障害のある子に意思決定能力がある程度ないとそもそも選択不可能です。意思決定能力の判断は家庭裁判所と医師がします。法定後見人に比較して手数料を抑えられることが多いようです。ただし親族による不正な使いこみは2014年に年間56億円以上というデータを見ると二の足を踏みます。

市民後見人

特別な資格を有さない一般市民が後見人を務める場合、市民後見人というようです。

ただし、後見人制度の講習を原則的には受講した人が対象となるため、一定の知識を有しているといえます。問題点としてはやはりあくまで第三者のため、これもまたどこまで信頼できるかという点が課題と言えそうです。

息子にはただ幸せに生きてほしいだけ・・・

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